「生徒指導提要」で子どもの権利が意識されていることには積極的な意味があるが,その一方で,子どもの「意見を聴取」する機会を設ける,「意見表明する」機会を設けるという記述に留まっており,それにどう応えていくかについては具体的に触れられていない。子どもたちが伝え続けてくれている考えや思いを受け止めることと,それにしっかりと応えることの双方が求められているはずである。
子どもたちは日常的に自分の思いや願い,意見を表現している。日々,教室・学校で子どもと過ごしていると,様々な形で子どもたちは声を出し続けてくれていることに気づかされる。それは,「言葉」としてだけでなく,行動やその姿,からだから声にならない声である。その言葉にならない声を聴き,正当に応えていくことで,子どもたちにとって,教室・学校が安心できる場となり,仲間とつながり,のびていく。このことについて,事例化した教室での出来事を基に考察した。