小学校に在籍する聴覚障害児1名が小学校第一学年から第四学年までに書いた日記838日分を対象として、漢字使用の状況について検討を行った。その結果、1年生段階で使用された漢字の内、約2割が学校では未習の漢字であった。2年生から4年生段階の日記においても、約3%程度の未習漢字が用いられていた。使用された未習漢字については、いずれも対象児にとって身近な物事を表す漢字(「お母さん」、固有名詞等)であった。このことから、聴覚障害児は、未習、既習を問わず、自らの経験に基づいて漢字を使用することが示唆された。
茂木成友、中村友則