第3 章「包括的権利と基本原則」(64〜91 頁)を担当。
日本国憲法第 13 条幸福追求権の法的権利性に関する学説を紹介し、幸福追求権を根拠とする、プライバシー権、名誉権、肖像権、自己決定権といった新しい人権について、判例等を用いて解説した。また、平等思想の歴史的変遷を踏まえた上で、日本国憲法第 14 条「法の下の平等」の意義を述べ、尊属殺重罰規定違憲判決から非嫡出子相続分違憲判決に至る判例を紹介するとともに、家族に関する法制度と「法の下の平等」との関係について解説した。
第9 章「判例研究」(221〜241 頁)を担当。
「エホバの証人剣道実技受講拒否事件」では、「他の生徒に不公平感を抱かせない」という判例の文言から、裁判官の心証形成には、人格間の等しい交わりの中での相互的な承認に基づく関係、すなわち「関係概念」が影響を及ぼしたと指摘した。「君が代ピアノ伴奏職務命令拒否戒告処分取消請求事件上告審判決」では、教員が伴奏行為を通じて、参加者の権利侵害に加担する可能性について言及した。「婚外子法定相続分最高裁違憲判決」では、直接裁判の争点にならない婚外子の語りこそが、裁判の「核心」そのものであり、生活の論理(日常的言説)であることを指摘した。