「金銭の自己管理能力の獲得が知的障害者の消費生活と QOL に及ぼす効果の検討」
特別支援学校を卒業し、就労継続支援B型事業所で働く重度知的障害のあるダウン症候群の青年男性1名を対象に、働いて得た給料を自己管理しながら自分の欲しいものを購入するための指導を行った。ATMシミュレーターを使った学習や、生活場面の中に消費活動の機会を積極的に設けたことで、対象者の買い物への意欲が向上し、欲しい物を自ら購入するようになった。指導前後に実施したQOLの評価や、対象者のインタビューの変化から、金銭の自己管理能力を獲得することで重度知的障害者のQOL が向上する可能性が示された。
東北福祉大学教育・教職センター特別支援教育研究年報14号,15-26.