論文

基本情報

氏名 石川 環
氏名(カナ) イシカワ タマキ
氏名(英語) Ishikawa Tamaki
所属 健康科学部 保健看護学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

経腸栄養管理における予防的なシンバイオティクス投与の創傷治癒促進効果に関する基礎研究(修士論文)

単著・共著の別

単著

概要

経腸栄養管理における予防的なシンバイオティクス投与の創傷治癒促進効果を検証した。
Wistar系雄性ラットを、経腸栄養剤のみ投与群、経腸栄養剤とシンバイオティクスを投与するシンバイオティクス投与群の2群に分け、各群5匹ずつに振り分けた。すべてのラットに70Kcalに相当する経腸栄養剤エンシュアH45mlを投与し、シンバイオティクスは蒸留水に混和し経口ゾンデを用いて投与した。
上皮化率は、7日目に経腸栄養剤のみ投与群では50.0%、シンバイオティクス投与群では87.5%で、シンバイオティクス投与群の方が早期に上皮化する割合が高かった。5日目皮膚の組織学的所見では、シンバイオティクス投与群は経腸栄養剤のみ投与群より毛細血管、膠原線維の分布密度が高く、角質層を伴う多層化上皮の形成を認めた。全身作用については、糞便検査では、シンバイオティクス投与群の方で有用菌であるBifidobacteriumが高く、短鎖脂肪酸は特に酢酸が高かった。腸管粘膜は、小腸絨毛の高さは経腸栄養剤のみ投与群よりシンバイオティクス投与群の方が高く、大腸粘膜は経腸栄養剤のみ投与群で萎縮を認めた。血液検査では、シンバイオティクス投与群の方でヘモグロビン値が有意に高く、体重は5%程度の増加を維持し有意差を認めた。
今回の研究で、経腸栄養管理下においてシンバイオティクスを予防的に投与することにより経腸栄養剤のみの投与に比べ創傷治癒が促進することが示された。そのため、経腸栄養管理下では腸内環境を考慮し、シンバイオティクスを予防的に投与することが重要であると考える。

発表雑誌等の名称

岩手県立大学大学院 看護学研究科基礎・管理看護学領域 看護実証病態学研究分野

発行又は発表の年月

201503