論文

基本情報

氏名 石川 環
氏名(カナ) イシカワ タマキ
氏名(英語) Ishikawa Tamaki
所属 健康科学部 保健看護学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

わが国におけるB型肝炎ウイルス感染被害の実態及び感染拡大の要因

単著・共著の別

単著

概要

日本では,1940年代から集団予防接種が実施され、40年間にわたり注射器具(筒や針)の連続使用よってB型肝炎ウイルスの感染が拡大した。国によって引き起こされたB型肝炎ウイルス感染被害者は40万人以上と推定され,重篤な肝疾患をはじめ,失職や経済困難,医療現場の不適切な対応等の社会的不利をもたらしている。厚生労働省では,感染防止(再発防止)教育および偏見差別防止教育を充実させるよう,医療関係職種の養成所・養成施設におけるB型肝炎に関する教育を推進している。本稿では,医療従事者の基礎教育において正しい情報に基づき適切な教育が行われるよう,わが国におけるB型肝炎感染被害の実態を整理し,感染拡大の要因について考察した。
日本におけるB型肝炎ウイルス感染被害は,日本の歴史的背景から,諸外国と異なる日本特有の複合的な要因が考えられた。日本の予防接種は,戦前は国防の目的で遂行され,兵士の健康の維持のために徹底して行われていた。国は,注射針については被接種者一人ごとの交換・消毒が必要であることは認識していた一方で,医師1人の1時間当たりの人数の目安を定め,安全性より効率性を追求していた可能性が伺われた。また,予算上の制約によるディスポーザブル注射器の普及の遅れや実施に至る各所で情報共有が行われていなかった状況から,行政内部でのリスク管理に問題があったことが考えられた。

発表雑誌等の名称

東北福祉大学研究紀要 45巻

発行又は発表の年月

202103