経腸栄養管理におけるシンバイオティクス投与による創傷治癒促進作用について、ラットを用いて基礎的研究を行った。食物繊維が含まれない経腸栄養剤を投与した対照群とシンバイオティクスを投与した実験群で比較した。上皮化率は実験群で受傷7日目に75%、対照群では50%であった。5日目皮膚の組織学的所見は、実験群は対照群より毛細血管、膠原繊維の分布密度が多く肥厚化した強化な上皮を形成していた。全身作用については、実験群で糞便中の有用菌および短鎖脂肪酸は有意に高く、腸管粘膜は対照群では小腸、大腸ともに萎縮が認められたが、実験群では正常に近い粘膜の組織構築であった。また、実験群では体重は5%程度の増加を維持し、ヘモグロビン値が有意に高く、対照群より栄養状態が良好であった。以上のように経腸栄養管理下においてシンバイオティクスを投与することにより、腸内環境が改善されるとともに、創傷治癒促進効果も期待できると考えられた。