スキンケアの目的は皮膚の生理機能を正常に保つことである。皮膚は外観を形づくり、ボディーイメージに大きく影響を及ぼす。ゆえに、皮膚の変化が心理面に与える影響は大きく、皮膚の健康を維持することは心身の健康を保つためにも重要である。また、皮膚は常に外界に接し、身体全体を覆う感覚器でもある。看護師は、創傷を持つ患者に対し、最小限の苦痛で自然治癒力を最大限に発揮できるよう、創傷治癒環境を整える必要がある。
このように、看護におけるスキンケアとは、皮膚障害発生リスクを軽減し、皮膚の健康を維持、増進させるための予防的スキンケアと、皮膚障害を回復させる環境を整え、皮膚の健康を取り戻すための治療的スキンケアがある。そして、これらのケアを行うためには、科学的根拠に基づいた専門的知識と的確なアセスメント能力を融合し、創造した看護を瞬時に適応させる技能が必要である。
スキンケアの方法には、皮膚の洗浄・清潔、保湿、保護がある。「患者が身体を清潔に保ち、身だしなみよく、また皮膚を保護するのを助ける」ことは、基本的看護の構成要素のひとつである。自分の価値を理解している看護師は、褥瘡のできやすい人のためにあらゆる努力をするはずである。
本講演では、褥瘡予防および治療における有効なスキンケアについて概説する。そして、患者にとっても、ケアする医療者にとっても、「健康な肌の維持」が行え、生き生きとした生活が送れるよう明日からの実践にお役に立てれば幸いである。