栄養管理はすべての治療の基本であり、不十分な栄養は全身状態を悪化させるとともに、組織の耐久性を低下させる。褥瘡の多くは栄養障害を有する患者に発生し、低栄養は創傷治癒を阻害する。当然のことながら、褥瘡治療において栄養管理は最優先とすべき治療のひとつである。どんなに適切な局所ケアを行ったとしても、栄養管理を併せて行わなければケアの効果は期待できない。
同様に、どんなに適切な栄養管理を施行したとしても、局所ケアが不十分であれば褥瘡治癒は遅延する。褥瘡治癒促進のためには多角的なアプローチが必要であり、それぞれの専門職による総合的なケアが必要となる。そのためには、褥瘡対策チームと栄養サポートチームのコラボレーションは不可欠である。
ナイチンゲールは、「看護覚え書」の中で、「患者の過去の食事を知り、患者の状態に適した栄養必要量を投与するのが看護婦の職務である。」と述べている。患者にもっとも近い立場にあるのは看護師である。褥瘡の状態に適した栄養必要量を投与するためには、私たち看護師が、褥瘡と栄養のアセスメント能力を習得し、チーム医療の要となることが重要な職務であると考える。
本講演では、褥瘡に必要な栄養管理について、皮膚・排泄ケア認定看護師の立場から解説する。
