本研究は、地域高齢者の体力測定値、および体格、主観的な健康度、生活・運動習慣、食習慣・栄養状態の調査を通じて、将来(二年後)の医療費に影響を与える要因を検討することを目的とした。本研究の結果から、地域高齢者の将来の医療費と関連性が高い指標は、性差、主観的な健康度、体力(特に起居動作)であり、さらには性差による特徴の差異も示唆された。すなわち、主観的な健康度が高まると医療費が抑制され、特に女性では平均寿命と健康寿命の差が大きいことから、起居動作の円滑さが医療費に影響を与えていることが考えられた。今後はさらに、診療内容の内訳や医療機関の利用目的の差異(治療・予防など)、および医療費の変化との関係等を検討していくことが重要であると考えられる。(佐藤敬広, 吉田裕人, 植木章三, 犬塚剛, 芳賀博)