いじめ防止対策推進法が施行されてから10年が経過した2022(令和4)年度のいじめの認知件数は約68万件で、過去最高となった。認知件数が多くなったことについては「積極的な把握が進み、見落とされることがなくなり、早期の対応に繋がる」という楽観的なとらえ方をすることはできず、学校教育における早急に解決しなければならない大きな問題である。
また、全国の小・中学校の不登校児童生徒は2021(令和3)年度から約5万4千人増え、約29万9千人となり、こちらも過去最高を記録した。児童生徒数が減少しているにもかかわらず、不登校児童生徒が増加しているという現象が続いている。
近年の不登校児童生徒増加傾向の背景には、学校以外での学びを広く認めた教育機会確保法が2017(平成29)年に施行され、「無理をしても登校させなくてもよい」という意識が広がったことや、コロナ禍での休校等による登校リズムの乱れ等が影響しているといわれているが、明確な原因は特定されていない。
本稿では、不登校児童生徒のために現在各地で設置が進んでいる学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の現状及び不登校児童生徒に対する特別の教育課程編成について特別支援教育が提供できることについて述べる。