はじめに
「言語指導のポイントは何ですか?」。研修会で質問を受けることがあります。「経験と言葉を結び付けることです」とは答えるものの相手は分かったような分からないような顔をしています。時間がくると「お答えになっていなかったかもしれませんが」とお茶を濁して終わることもあります。
本稿では、私はかつてこのような言語指導を行っていた、このように指導するとよかったというエピソードをお話ししたいと思います。
1.「焼く」「ゆでる」「蒸す」の違い
小さな子どもの場合、まだ調理の方法に関する言葉が身に付いていないことがあります。
聾学校の子どもは小学部であっても、こんなやり取りや文章が、会話や日記の中に出てくることがあります。聾学校の教員であれば、言葉の使用の取り違えを発見したら、それを正しいものに置き換えていくという言語指導を行わなければいけません。
日本語には「焼く、ゆでる、煮る、温める、炒める、炊く、蒸す、ふかす、煎る、焙じる」などの調理の方法を表す言葉がたくさんあります。