2012年4月~2015年3月。鑑真の高弟・法進(709~770)の戒律注釈書を主な題材として、鑑真一門の将来した戒律思想が日本仏教思想の形成・発展に与えた影響についての具体的・綜合的把握が目的。本研究により、① 従来はその断絶面が強調される傾向にあった奈良~平安仏教史の展開過程を、護国思想・救済思想の理論的根拠となる戒律観の定着過程に注目することで、連続的かつ有機的に理解する。②「鑑真門下の戒律観の継承者」という観点から平安仏教における戒律観を再評価することで、鑑真一門の戒律思想が日本仏教に与えた影響とその意義を動的・かつ俯瞰的に提示することを目標とした。