「鑑真門流における戒律観――法進『沙弥十戒并威儀経疏』をめぐって――」(査読有)
本稿では『威儀経疏』において、仏教経典以外の典籍(外典)を用いた経典註釈の存在に注目し、その意義を明らかとすることを目標とした。『威儀経疏』には外典、特に中国固有の忠孝観や礼教観念を援用した註釈の存在が目立つ。法進は護国的要素の希薄な初学者向けの戒経である『沙弥十戒威儀経』に外典を多用した註釈を盛り込み、その普及・実践を通じて唐代の理想的な護国仏教を奈良時代の日本に再現することを企図したものと考えられる。pp.39-57
『佛教史学研究』第49巻第2号(佛教史学会)