論文

基本情報

氏名 冨樫 進
氏名(カナ) トガシ ススム
氏名(英語) Togashi Susumu
所属 教育学部 教育学科(中等教育専攻)
職名 准教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

「最澄における『仁王経』受容の意義――不空教学と大乗菩薩戒構想との関係を視野に――」(査読有)

単著・共著の別

単著

概要

弘仁11年(820)2月、比叡山上における大乗菩薩戒壇設置を目的として最澄によって奏上された『顕戒論』『内証仏法相承血脈譜』には、空海の灌頂師・恵果の師にあたる天竺僧不空の上表文や皇帝からの制書などを集めた円照撰『表制集』からの引用として、順暁発行の印信には記載のない「金剛界毘盧舎那如来→金剛薩瑰→龍猛→龍智→金剛智→不空(→順暁)」という相承系図をはじめ、不空に関わる多くの言説を認め得るる。
 最澄が不空から受けた影響の意義を『表制集』所収文献からの書承・引用から理解しようとする場合、表面的・非本質的という否定的評価が生じざるを得ない。しかし、生涯を貫く活動において最澄が《不空教学》を意図的に選択したことの思想的意義については教学とは異なる視点・方法に基づく、より積極的な評価が求められよう。
 本稿では、不空訳出の新訳『仁王経』『良賁疏』を最澄がどのように受容し、晩年の大乗菩薩戒構想へいかなるかたちで反映させたかという点を実証的に検討することで、①最澄による新訳『仁王経』受容は、若年期より晩年へと至るまで一貫した護国思想に沿ったかたちで、極めて自覚的に行われた。②最澄の新訳『仁王経』受容は『仁王儀軌』『良賁疏』の内容を前提としており、その成果は弘仁4年撰述の『仁王会式』にて初めて具現化した。③『仁王会式』に準拠すると考えられる同9年の『仁王経』長講の成功は『山家学生式』『顕戒論』に結実する大乗菩薩僧育成構想の体系化を促進した。④最澄は『仁王経』に《天竺由来の呪術的側面》《南都とのコンセンサス的側面》という二側面を見出し、目的に応じて新旧両訳を併用した、という点を確認した。
pp56-73

発表雑誌等の名称

『日本思想史学』第48号(日本思想史学会)

発行又は発表の年月

201609