(報告発表)藤原仲麻呂における維摩会
日本思想史学会2004年度大会(於, 京都市左京区・京都大学吉田キャンパス)
興福寺の維摩会は、『維摩経』の功徳によって重病を快復することが出来た藤原鎌足によって創始され、父鎌足同様『維摩経』供養によって重病を克服した不比等によって再興されたとする縁起がよく知られている。しかし、仲麻呂が維摩会興隆を企図して孝謙天皇に対して発した奏上文の中では如上の治病説話に関する言及を藤原氏内部に限定された私的要素として払拭することにより、維摩会を朝廷と藤原氏との不二の関係を象徴する儀礼として位置づけたことを明らかにした。