『藤氏家伝を読む』

藤原仲麻呂は『藤氏家伝』「大織冠伝」において、『文選』『藝文類聚』をはじめとする中国典籍の表現をふまえ、曾祖父鎌足を中国史上の有名な諫臣である張良・呂尚（太公望）・臧彄らに擬えることで、曾祖父鎌足を「賢臣」「諫臣」として顕彰した。同時に、「諫臣」たる鎌足の助言を受け入れて善政を行う理想的人物として中大兄（天智）を描き出すことで、「大織冠伝」中における中大兄の聖君化とその治世の美化をも併せて実現した。
Ⅱ 『藤氏家伝』の言説, 君聖・臣賢・茲美――『藤氏家伝』における諫言の機能――, 総p.270, pp.119-138
篠川賢, 増尾伸一郎, 加藤謙吉, 遠藤慶太, 榊原史子, 小林真由美, 冨樫進, 藏中しのぶ, 北條勝貴, 中川久仁子, 藤井由紀子

吉川弘文館