地域包括ケアシステムの地域間格差を明らかにするため、国のオープンデータを使用し過疎地域と非過疎地域の重度要介護者の施設入所率と在宅サービス利用率を比較した。
研究結果: 過疎地域の重度者の施設入所率は63%で、非過疎地域の50%より高く、訪問介護や訪問看護の利用率は過疎地域で低く、短期入所生活介護の利用率は高いことが明らかとなった。
考察: 一般的に要介護者のうち重度者ほど施設入所の割合が高くなる傾向にあるが、過疎地では非過疎地に比べてより重度者が在宅生活を継続することが困難な状況にあることが判明した。その背景には、過疎地域では非過疎地域に比べて訪問介護、訪問看護といった在宅介護における中心的サービスの利用が低く、代わりに短期入所や施設入所が利用される傾向にあると考えられる。今後は、過疎地域における地域包括ケアシステムの現状の把握を基に、その在り方について検討を進めていくことが必要である。