本学仏教文化研究所が2019年3月~4月にかけて、宮城県内の曹洞宗寺院を対象に実施した郵送調査「人口減少時代と寺院の将来像-宮城県曹洞宗寺院をとりまく社会環境の変化とその対応-」の結果の一部を報告した。分析の視点は、①非過疎地寺院との比較による過疎地寺院の運営状況、②檀家数の減少に影響する要因の2点である。結果、非過疎地寺院に比して、過疎地寺院のより厳しい運営状況が明らかとなった。ただし、家族のみ葬儀や墓じまいといった現代的ニーズについては、過疎地寺院に先行して非過疎地寺院においてより高い割合で経験している現状が把握された。檀家数の変化には、寺院の環境要因、寺院の運営状況、寺院の活動内容のそれぞれの側面が影響していた。その中で、個々の寺院が取り組むことができるものとして、離郷檀家への法要の案内や寺院の地域への開放が檀家数の減少の軽減に何らかの効果がある可能性が示唆された。
石附敬、斉藤仙邦