生徒指導・進路指導論では,外山滋比古著「傷のあるリンゴ」を読んでのレポートを課題としている。「傷のあるリンゴ」には,「試験に落ちて進路変更を余儀なくされたような人が,悪戦苫闘,傷だらけになって走る人生マラソンのゴールはおどろくほど見事である。失敗は幸運の女神の化身であると考える人がすくないのは不思議である。傷のあった方がうまいのはリンゴにかぎらない。われわれは不幸,失敗の足りないことをこそおそれるべきである。傷ついてうまくなったリンゴの教訓は貴重である。」という表現があるように,失敗に対する考え方が記されている。学生は,この文章から自らの失敗を振り返って,自分なりの考え方を述べる。自らの大学入試を振り返って記すレポートが多く,福祉大を第一志望とする学生は半数ほどで,しかも,入試は自分の思うとおりにはできなかったという学生の割合も高い。その様な中で,入学後の学生の意識は大きく変わり,福祉大に入学して良かったと答える学生の割合は9割以上に上っている。このような学生の変化に焦点を当てながら,「自己効力感」とのかかわりについて論ずる。