ICT教育が急速に進展し、AIが多様な問いに即座に応答できるようになった現在、子どもたちの知的好奇心や探求心を育むためには、「数学的経験」が重要である。子どもが抱く「気づき」「発見」「疑問」といった内発的な反応を起点とする数学的経験は、既習の知識や技能を総動員し、考え、判断し、表現しながら課題を解決する営みである。
このような学習過程では、結論を急がず、自らの思考を振り返るメタ認知能力を高めることが求められる。同時に、明確な答えがすぐに得られない状況に耐え、曖昧さの中で思考を深める「ネガティブ・ケイパビリティー」の考え方が重要となる。
高度情報化社会において、知的好奇心や探求心を育てる教育の必要性は一層高まっている。その中で数学教育が果たす役割は大きく、「深い学び」の実現が強く求められている。
本稿では、ネガティブ・ケイパビリティーの考え方を取り入れた「深い学び」の充実について論じる。