その他

基本情報

氏名 戸田 恭子
氏名(カナ) トダ キョウコ
氏名(英語) Toda Kyoko
所属 健康科学部 保健看護学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

「看護系大学生の「さかのぼり」授業による新生児看護の学びに関する研究 -2年間の試みの一考察-」

単著・共著の別

共著

発行又は発表の年月

201712

発表学会等の名称

第37回日本看護科学学会学術集会(仙台国際センター)

概要

【目的】本研究は、看護系大学生の母性看護の対象者理解を促す教育方法として2年間試行的に行った「さかのぼり」授業における新生児の看護についての学生の学びを考察し、教育方法を検討することを目的とする。【方法】研究協力者は平成27年度と28年度母性看護援助論の履修学生で、成績の確定後に研究目的と方法について文書を用いて説明し研究協力を依頼し、同意書への署名をもって研究協力の同意とした。データは、新生児看護の授業後に学生が記載した振り返りシートの学びの内容とした。振り返りシートとは、授業の最後に「対象者とその看護について考えたこと」を記載する用紙である。また、インタビューへの同意の署名があった平成27年度8名、28年度8名の学生に半構成面接を1人1回、約30分実施しインタビューを行った。内容は、授業を受けて対象者がイメージできたか、対象者の経過をさかのぼって展開した授業の構成と内容の理解状況についてであった。録音データから逐語録を作成しデータとした。授業の振り返りシートの内容とインタビューによるデータは質的帰納的に分析した。本研究における「さかのぼり」授業とは、看護の対象者の経過を現在からさかのぼり、正常から逸脱した新生児の看護から始まり、妊婦の看護を最後に取り扱う援助論の授業である。なお、所属の倫理審査委員会の承認を得てから研究を行った。【結果】平成27年度履修生61名、28年度履修生46名の協力を得た。学生の振り返りシートの389文の内容とインタビューによるデータは簡潔な表現に変換しコードとした。それぞれ類似したコードを統合してサブカテゴリとし〈サブカテゴリ〉を統合して《カテゴリ》化した。学生は、《新生児の正常な成長・発達の理解》として〈子宮外適応過程の理解〉や〈新生児の特徴や生理機能の理解〉し、《新生児を観察することについての理解》では〈新生児の看護は観察が重要〉と〈身体機能が未熟であり観察が重要〉であることに気づき、学生自身が〈変化に気づけるようになること〉を求めていた。また、〈正常と正常からの逸脱に対するアセスメントの重要性〉や〈生理的変化に合わせてアセスメントをする〉とした《新生児のアセスメントの重要性》や《アセスメント技術の必要性》《観察やアセスメントの困難さ》を表現していた。《正常からの逸脱を予防するための新生児のケアの重要性》は〈適切な看護が重要〉〈逸脱を予防するケアの重要性〉〈様々な情報から判断し予測する〉などであった。さらに《家族に対する看護の必要性》も表現していた。また、インタビューより対象者の経過をさかのぼって展開した授業構成は概ね《違和感や戸惑いは無かった》。内容の理解状況は《胎児より新生児がイメージしやすかった》であった。【考察】母性看護学において正常から逸脱した新生児への看護を先に学ぶことは、学生の対象者理解を促す教育方法の一つとなる可能性が示唆された。
戸田恭子、浅川真由美、三澤寿美