日常生活において、我々は眼前の対象についての主観的な感情や体験を感じ、自らが意識を持つということを疑う者はいない。しかしながら、意識に対して客観的にアプローチすることができないという理由から、意識研究は長い間、禁忌とされてきた。近年、認知科学や神経生理学の発展とともに、しだいに意識の存在を肯定的に捉える研究者が増え、意識研究は21世紀科学の最大の課題の一つとして、多くの研究者の関心を惹きつけている。本稿では、意識の機能の中でも、対象への視覚的な気づきについて、知覚的群化手がかりの相互作用(研究1)、及び視聴覚モダリティ間の相互作用(研究2)の観点から実験心理学的に検討した。
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