複数の視覚刺激が同時に呈示されると、知覚的群化の要因(近接・閉合)によって一つのまとまり(物体)として知覚される。一方で、運動する背景に静止した標的刺激を呈示すると、やがて標的が消失したように知覚されることが知られている(motion-induced blindness: MIB)。MIBにおける消失タイプは、知覚的群化の程度によって変化することから、知覚的群化の要因が物体の単一性をどのように制約するかについてMIB における標的刺激の消失タイプを指標として検討した。その結果、MIBにおける標的の消失タイプは、近接と閉合の要因の両者による影響を受けて変容することが分かった。この結果は、近接と閉合の要因は物体単一性の知覚にともに寄与し、物体の視覚的気づきを変容させることを示唆する。
総p.6, 106(410), 129-134
柴田理瑛、河地庸介、行場次朗