本研究では、視聴覚相互作用の安定生起には視聴覚刺激の提示の直前・直後に一定の時間範囲を必要とすることを示す。参加者は2つの物体が交差する軌道を運動する刺激を観察し、交差時に2つの物体が通過する、もしくは反発するように知覚されたかを判断した。交差前と交差後の運動時間、交差時に提示される瞬間刺激(音またはフラッシュ)の有無を操作した。通常、瞬間刺激の提示は頑健な反発知覚を誘発するが、交差前・後のいずれかにおいて運動時間が100msに満たない場合に反発知覚が減衰することが明らかとなった。さらに、この交差前後の情報処理の脳内表現についてfMRIを用いて検討した結果についても報告する。
河地庸介、柴田理瑛、川畑秀明、北村美穂、行場次朗