大規模な災害が乳幼児期・学童期の子どもに与える影響はいまだ解明されていな部分が多い。本研究では,東日本大震災の被災地において,保育士および児童指導員を対象に,最近1年間で気になる行動について自由記述を求めた。得られたテキストデータを,年度別,居住地域および発達段階別に計量テキスト分析したところ,2017年では「津波,敏感」といった語の出現率が2019年よりも高かった。一方で2019年では,2017年よりも「落ち着きのない」という語の出現率が高く,このような傾向は,内陸部の乳幼児よりも沿岸部の乳幼児において高かった。これらの結果は,震災後数年たって子どもが落ち着かなくなることを示唆し,その背景には養育者との安定したアタッチメントの形成に課題があることを示唆した。