その他

基本情報

氏名 柴田 理瑛
氏名(カナ) シバタ ミチアキ
氏名(英語) Shibata Michiaki
所属 総合福祉学部 福祉心理学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

気になる子どものアセスメントとアタッチメントの形成過程について

単著・共著の別

単著

発行又は発表の年月

202203

発表学会等の名称

日本発達心理学会第33回学術大会自主企画シンポジウム 東日本大震災後、急増する攻撃性の高い子どもたちへの介入 アタッチメントに課題を有する子どもの攻撃性の背景とアセスメントについて

概要

刑部(1998)は、気になる子どもの様子について、「設定保育に入ろうとしているのにあの子だけが来ない,ちょっと見てない隙に友達とトラブルをおこして泣いている」、といったエピソードを示している。このような状況が続くと保育者は、気になる子どもの問題行動が目につきはじめ、対応策を講じても、徒労に終わるという経験が多くなり、多くの保育者を困らせている。一般的に気になる子どもと一括りにされる傾向もあるが、池田ら(2007)は、保育士を対象とした質問紙調査の自由記述から、気になる子どもの呈する問題を、言語領域、行動領域、社会領域、情緒領域、他児とのトラブルに関する領域、生活習慣に関する領域、常同行動に関する領域の7領域に分類した。この結果は、気になる子どもという保育者の印象が、複数の要因によって構成されることを示唆し、支援を計画する際には、個別かつ領域ごとにアセスメントする必要があることを示唆する。これまで筆者らは、東日本大震災後に、巡回相談や心理教育に関する研修を中心としたアウトリーチを行ってきた。巡回相談や研修では、池田ら(2007)が示すような、言語、社会性、情緒といった領域に関する支援では改善しないことも多く、運動機能の未熟さや、担当保育士を一日中独占するなどアタッチメントの未熟さに関する事例が共通して観察され、気になる子どもの様子が先行研究とは質的に異なることが明らかになってきた。発達段階ごとに運動機能、言語機能、社会性を測定する発達検査は複数存在するものの、アタッチメントの形成過程を測定できる尺度は未だ開発されていない。そこで筆者らは、新たにアタッチメントの形成過程を測定するための尺度を開発することとした。予備観察から、気になる子どものアタッチメントの形成過程について、アタッチメント対象との信頼関係の構築、アタッチメント対象への攻撃、アタッチメント対象からの離脱と探索行動の発現といった、3つの段階が時系列に遷移することが示された。そのため、各段階で1尺度ずつ作成し、アタッチメント対象となる保育者がそれぞの質問項目に回答を行う形式とした。本報告では、尺度作成の結果を報告するとともに、発達検査とアタッチメントの形成過程を組み合わせてアセスメントした事例を、力動的心理学および発達心理学の視点から考察する。