本研究では、近接・閉合の手がかりが実効的に機能する空間範囲を運動誘発盲におけるターゲットの同時消失を指標として検討した。具体的には、内側ターゲットを囲むように輪郭のみの外側ターゲットを呈示し、両ターゲット間の近接性と閉合性を操作した。その結果、ターゲット間の距離が0.2度未満のときには近接の手がかりが、0.4度未満のときには閉合の手がかりが両ターゲットの同時消失報告にもっとも寄与することが示された。これらの結果は、複数の群化手がかりが物体間の距離に依存して重み付けされ、物体表象へ相互作用することを示唆する。
柴田理瑛、河地庸介、行場次朗