宮城県における中学生の不登校率は 2 年続けて全国最多(千人当たり40.8 人)となっている。震災の翌年以降、不登校率は上昇を続けており、宮城県教育委員会も「沿岸被害地に限らず、県内全域で震災が子どもたちに与えた心理的影響はまだ続いている」と分析している。また、子どもへの影響は幼児、学童にも及んでおり、過度の甘えや抑うつ傾向を示す子ども、高い衝動性や攻撃性を示す子どもが増加している。特に、攻撃性の低年齢化は著しく、2,3歳の幼児が、保育士に向かって「シネ」、「キエロ」、「クソババア」などの暴言を吐くことも少なくない。いくら幼い子どもの言葉であっても、これらの暴言を毎日浴びる保育士の傷つきは深く、第三者の介入がないと保育現場だけではこれらの問題を解決することは難しくなっている。このラウンドテーブルでは、外傷的出来事を体験している子どもの攻撃性をどのように理解し対処すべきか、架空事例を通して実践的に学ぶことを目的とする。
足立智昭、平野幹雄、柴田理瑛、Ralph B. Mora