イギリスは全英ロックダウンを繰り返したが、2021年9月の新年度から全児童が登校可能となった。政府の姿勢は、各小学校でコロナウイルス感染に気をつけながら、コロナ前と同じような授業を再開するというものである。本論文では、空気感染(airborne transmission)がコロナ感染の主な原因の一つとされている中で、特に歌や楽器演奏、音楽遊びなど実践が多い低学年(Key Stage1:5〜7歳)において空気感染しやすい実践を多く含む音楽の授業について、どのように学校やそれを取り巻く社会が取り組んでいるかについて、これまでの3回のロックダウン(2021年11月24日現在)の教育に与える影響とそれによる教科としての音楽に対する影響を考察する。2021年9月を一つ区切りと捉えて、KS1の音楽の実態を2021年9月の前後に分けた上で、イングランド各地の小学校の実践例を中心に、コロナ収束を意識した新しい音楽授業の方向性と課題について考察を進めた。本論文の研究対象はイングランドの小学校とする。(NB:本論文中の社会的背景や政府の方針及び学校に関する情報は、本論文執筆時2021年11月24日のものである)