現在の日本の英語教育の授業で用いられる英語の歌やゲームについて一番気になっているのは、これらの歌やゲームのレパートリーがシンプルというか、よく知られている定番のもののみが活用されている点である。本研究では、特に2020年から外国語活動が必修化される小学校中学年(小学3年生、4年生)を対象とした様々な目的別に活用できる歌や音楽ゲームを取り上げながら、歌や音楽ゲームの教育上の効果について論じていく。特に、英語の授業の中で他の教科の内容にも触れられるクロスカリキュラム的な役割を果たせる歌やゲームについても具体例を挙げつつ考察した。対象を小学校中学年のみとしたのは、中学年の場合には、比較的歌や音楽ゲームの導入がスムーズであるという点が本発表の仮説でもある。 これは児童の年齢的なものからであり、小学校高学年となると、人前で歌を歌ったりすることへの抵抗が生じる年齢に差し掛かるため、歌や音楽を使ったゲームで、例えば歌いながら勝ち負けを競うという活動へ児童を積極的に参加させるためには教師の音楽以外での工夫が必要となってくることも考えられたためである。