「自然出血」と言われる血友病性出血の発生は、血液凝固因子の欠乏そのものが原因ではなく、それまでの出血によって発生した関節機能の低下と、それによる動作・行動の異常による相乗作用の結果発生することが、明らかとなった。血液凝固因子の欠乏は止血時間を遅延させるが、出血の原因の多くは日常行動の中に存在する。このことは、日常生活行動の分析とその行動の適切なコントロールにより、出血発生を抑制できることを示唆している。慢性疾患児の病状変動を、身体の病理的要因のみではなく行動水準での分析とそれへの対処の視点から検討することは、自立活動の方向性のひとつである。村上由則・村井憲男