病弱教育の対象である慢性疾患は、多種多様な病気が含まれ、しかもその状態像は激しく変化する性質を持つ。それ故、ほかの障害種と異なり教育的支援の対象として理解され難い。本論文では、種々の慢性疾患の病理的要因をふまえ、病気の子どもが直面する生活行動上の困難を整理し、慢性疾患の障害特性とその教育的支援の対象を理論的に確定することを試みた。その結果、慢性疾患児は変化する病状の認知と、病状を安定させるための療養的生活行動の維持が、日常的に直面する課題であることが明らかとなった。教育は、この認知と、維持にかかわる動機づけを、対象児において形成する役割を担うことであると想定された。