構音障害のため発話が聞き取り難く、音声言語によるコミュニケーションに困難を示すダウン症児を対象に、障害状況の分析と支援を試みた事例研究である。構音状況を実験的に確認すると、音節数が増えるにしたがい分割した構音が難しくなること、ITPAの下位検査項目の検討と実験場面から視覚入力ー運動構成に比べ、聴覚入力‐運動構成が困難になることが明らかとなった。そこで、視覚入力を補助手段として、運動により発話の意図的分割した音声的構成活動を半年間継続した。その結果、復唱は改善するとともに、発話が不明瞭となることに対象児が気づくと、自分で分割的運動・動作を行いながら発話を行うように変容した。