東日本大震災で被災し、難病患者の状況の当事者報告である。対象事例はライフラインである血液製剤供給システムの遮断と、安全な日常生活に不可欠な物理的生活環境の崩壊の危機に遭遇した。支えとなったのは物理的生活環境復元・改善においては職場・生活周囲ネットワークであり、また製剤確保にとっては職場、患者会、血液製剤メーカー担当者とのネットワークであった。これらは、大規模災害危機時に急ごしらえで構築することは難しい。難病・障害者は、生命維持に不可欠な医療的・生活的資源の確保と、日頃から可能な範囲でのカミングアウトと難病等による困難についての具体的な情報伝達とネットワーク構築が必要であると指摘した。