本稿では、発達障害のある児童とその保護者のかかわりにおける事例記録をもとに相談内容を分析し、学校・家庭・地域という三つの観点から、発達障害児の親の養育上における不安に焦点をあて、その変化について検討し、発達障害児をもつ親への支援のあり方について考察した。時間軸と学校・家庭・地域の時間軸ごとの状況を整理することで、発達障害児を養育する上での親の不安に影響を及ぼすと考えられる背景要因などが見えてきた。そして、母親の不安を少しでも軽減させるために、身近な相談相手の存在と学校との情報交換の必要性、またそれにかかわるスクールソーシャルワーカー等の専門職の活用の必要性が示唆された。
総p.423pp.67-79