軽度発達障害のある子どもの母親の悩みと解決方法を検討することを目的とし、本研究室で行われている保護者支援講座であるペアレントトレーニングの受講者39名の延べ70回分の記録を質的に分析した。結果および考察として、母親の悩みは、症状に関すること、母親の対応、学校・幼稚園、きょうだい、父親、友人関係、宿題、検査・薬、母親自身、祖父母、運動の11のカテゴリーに分類された。悩みに対する解決者は、講師が62.7%、他の母親のみが6.6%、講師と他の母親双方が30.7%であり、ペアレントトレーニングは、母親同士が自身の経験や意見を語り合える機会となっていること、また他の母親や悩み解決に大きな役割を果たしていることが明らかになった。宿題、友人関係、父親についての悩みは、母親同士が共有しやすい悩みであり、さらに他の母親からのアドバイスによって解決できる可能性が示唆された。母親の悩みを解決するためには、ペアレントトレーニング以外の知識や対処方法の提示が必要とされていることが示唆された。富澤弥生 鈴木千明 新村享子,総p82,23-28.