発達障害児をもつ母親3名にインタビュー調査を行い、子ども本人に診断名告知を行ったか否かを事前に聞き取り、その告知の方法と、告知前後の子どもの様子について語ってもらった。母親には了承を得た上でICレコーダーに録音し、逐語録したものをエピソード毎にまとめ、吉田(2004)の「自己認知段階」と照らし合わせ考察した。本ケースの結果では、いずれの事例においても「否定的な捉え方」の段階が見られた。しかし、その後の経過として、一事例は親と相談しながら家族が学校で受け入れられ味方がいると実感することで自分の進路を決定し、肯定的に捉え直す段階へと変化していた。他二事例は、同じ障害のある子どもと関わる場を設定することで、子どもが自身を改めて捉え直すきっかけとなり、また成功体験を重ねる中で肯定的に捉え直す段階へと変化していた。本調査から、できるだけ早期に適切な告知がなされるよう準備しておくことで、子どもごとに違う告知の時期や伝え方に対応できること、また告知をすることで親の罪悪感からの開放や安堵をもたらすことも示唆された。