作業療法士養成を担う本専攻では,臨床教育を重視し,指定規則の18単位を大きく上回る23単位の臨床実習を導入してきたが,学科新設から4年目の完成年度を契機にカリキュラム全般と臨床教育について検討を行った.新カリキュラム型4回の臨床実習は学生が臨床の場面をより多く経験し,その中で指導を受け,段階的に学習できるような内容に改訂した.まず,初めて長期に実施する評価実習Ⅰ(2年次後期)では,作業療法を体験する実習と位置づけ,①見学・模倣・実施からなるクリニカル・クラークシップ(CCS)を導入し,②作業療法実践に必要な多くの情報提供を受けながら,③学生たちが臨床経験の中で学ぶことを重視するというCCS型評価実習Ⅰとした.このCCS型評価実習Ⅰにおいて実施した学生への調査から,学生の主観に基づく総合的な達成度には,学生の臨床での技能面や態度面での学びとの関連性が示唆された.また学生の主観に基づく総合的な達成度と態度における下位項目の達成度自己評価との関連性が示唆された.これらのことからCCS型評価実習において学生たちは,技能や態度という臨床の中で,経験としてしか学ぶことのできない臨床的学びを実感しているのではないかと考えられる.一方,臨床実習において学生たちは,初めて経験する臨床実践やさまざまな環境からの影響なども受けるものと推測される.これらによる影響性も踏まえ,臨床実習のあり方について今後も継続して検討していきたい.クリニカル・クラークシップを導入し構築した本学のクリニカル・クラークシップ型臨床実習について,学んだ学生たちの達成度自己評価をもとに検討した.
p.308-309
紀國谷恵子 佐藤善久 渥美惠美 稲垣成昭 曽根稔雅 藤田貴昭