望ましいことと〈力〉の問題
心理臨床においては、だれもが「望ましいこと」に向けて、善意に基づいてクライエントの支援を行う。しかし、専門家―非専門家、支援者―被支援者という非対称の関係においては、そのような「望ましいこと」が、クライエントに対する対人支援職の自覚していない力として動き、クライエントの力を奪い、クライエントを一層苦しめることになる場合があることについて触れ、特に子どもの問題を主訴とした親子並行面接では、そういった危険性が何重にも生じうることを論じた。
東北福祉大学臨床心理相談室紀要 第1号