その他

基本情報

氏名 鎌田 美千代
氏名(カナ) カマタ ミチヨ
氏名(英語) Kamata Michiyo
所属 健康科学部 保健看護学科
職名 講師
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

「看護学生における多重課題の解決過程に関する検討」

単著・共著の別

共著

発行又は発表の年月

201308

発表学会等の名称

第16回北日本看護学会学術集会

概要

【目的】看護師は、医療チームの一員として複数の患者を受け持ちながら、数多くの複雑化する看護業務を行っている。しかし、このような多重課題を遂行しながら看護ができるようになるには、多くの時間や努力などが必要とされている。そこで、本研究では臨床系臨地実習をすべて終了した看護学生に焦点をあて、多重課題の解決傾向を検討した。本研究における多重課題の定義を、看護師が臨床で行う看護ケアや看護業務を同時に複数行うこととする。
【研究方法】1.協力者:A大学の保健看護学科に在籍する4年生12名(男子6名、女子6名)、21.2歳±0.5(平均年齢±SD)。協力者は、必修科目である臨床系臨地実習をすべて終了している。2.実験方法:4人部屋の病室を想定した場面を設定し、協力者に看護業務に関する課題を提示し取り組ませた。実験風景は動画で記録した。3.患者設定:患者A・・・85歳、歩行時ふらつくことがある。一人でトイレ歩行し転倒したことがある。患者B・・・明日退院となっており、担当看護師はサマリーの記述、退院後の薬剤確認、患者が退院してから困らないように調整しなければならない。患者C・・・末梢点滴を行っており、10分後までに次の点滴ボトルに交換する予定である。患者D・・・肺炎で酸素吸入(3L/min)を行っている。SpO2モニターを装着しているが、時々SpO2が80%台に低下する。4.病室場面設定:患者Aがベッドから降りようとしている。夜勤看護師への申し送り準備をしなければならない。患者Cの点滴の交換をする必要があり、患者DのSpO2モニターは低下していないが喘鳴が聞こえている。患者Bのサマリーが完成していない。5.実験期間:平成24年5月~6月。6.分析方法:課題に取り組む優先順位と、協力者の行動傾向をまとめた。7.倫理的配慮:本研究は東北福祉大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】多重課題の取り組みにおける優先順位は、患者A→C→Dが8名、患者A→D→Cが2名、患者C→A→Dが1名、患者D→Cが1名であった。また、患者Dの呼吸音を確認した協力者は5名、吸引を行った協力者は3名、酸素カニューレが外れていたことに気づいた協力者は2名であった。患者Bと会話したのは2名であった。
【考察】最初に患者Aに対応する協力者が多く、自立歩行困難な患者が動いていたことに緊急性を感じていたと考えられる。我々は、生命の危険がある患者Dの対応が優先順位の上位にあると考えたが、協力者には上位に捉えられていなかった。さらに、患者Dの呼吸状態を確認したり、酸素カニューレなどを直す協力者が少なく、患者の全身状態を適切にアセスメントすることは、看護学生の立場には困難な事象であったことが伺えた。
河村真人、鎌田美千代、杉山敏子