認知症介護の現実を扱った新聞記事を授業の中で活用することによる学生の学びを明らかにし、新聞記事の教材化を検討することを目的とした。朝日新聞2007年7月~11月に掲載された「患者を生きる-認知症」の一部を資料とした講義後に提出されたレポートを分析した。新聞記事から学んだこと、認知症に重要なケアに関する部分を抽出し、意味内容の類似性に従って内容を整理した。学生は、ライフヒストリーの中から、認知症の本人と家族の葛藤、苦悩、介護の問題について具体的に学ぶことができていた。認知症の介護の現状を扱った新聞記事は、映画やビデオに比べ時間的制約が少ない、事後学習にも活用でき、教材の提示方法によって、幅広い見方や考えができるという利点が示唆された。
吹田夕起子、中村令子、中川孝子、黒坂満智子、荷田順子