東日本大震災により被害を受けた地域では医薬品の流通が滞る、医薬品供給のミスマッチが多発したことから、災害発災時における適切な医薬品流通の確保は危急の課題である。医薬品の供給体制について、製薬会社及び医薬品卸会社における震災時の医薬品流通に関する調査を実施した結果、震災時には医薬品の不足よりもガソリンなどの業務上必要な物資の不足や交通網、情報網の混乱に苦慮したことが明らかとなった。会社の災害対応マニュアルの把握状況については震災前後で好転しているものの、世代間で把握状況に差があることが明らかとなった。また自由記述の結果から、震災時の医薬品供給体制が整いつつあるものの、製薬会社、医薬品卸会社、医療機関の協同に関する物足りなさが浮き彫りとなり、今回の研究結果をもとに、より実践的な協同計画について立案する必要性が示唆された。