平成20年に日本薬剤師会は、薬剤師がケアを続ける在宅患者の約4割に処方薬の「飲み残し」、「飲み忘れ」があり、厚生労働省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計された残薬の年総額は475億円にのぼることを報告した。しかし在宅高齢者のみを対象にしたこの調査結果は氷山の一角であり、向精神薬の多剤併用や臨床的に必要以上の薬剤が投与されるポリファーマシーの現状を鑑みると、実際に残薬となり廃棄される薬はさらに多いと予想される。これまでに薬の飲み残しや多剤併用に関する報告が多数なされているにも関わらず、実際に廃棄される薬に注目した研究は少ないため、医療機関等における廃棄薬の種類や要因を検討する。