アンフェタミン代謝物であるp-ヒドロキシアンフェタミン(p-OHA)は、乱用薬物によって誘発されるような異常行動を引き起こすなど、多くの薬理作用を有することが示されている。私たちはこれまで、げっ歯類の感覚運動機能に対するp-OHAの特性を明らかにするために、マウスのプレパルス抑制(PPI)に対するp-OHAの効果を検討し、p-OHAの脳室内投与により用量依存的にPPI障害が誘発されること、p-OHA誘発性PPI障害にドパミン神経系が関与することを報告している。本研究ではp-OHA誘発性PPI障害に対するセロトニン神経系およびノルアドレナリン神経系の関与を検討した。その結果、ケタンセリン (5-HT2A/2C受容体拮抗薬)、MDL100,907 (選択的5-HT2A受容体拮抗薬)、5,7-dihydroxytryptamine (5-DHT, セロトニン神経毒)、p-chlorophenylalanine (PCPA, 5-HT合成阻害薬)、プラゾシン(選択的α1受容体拮抗薬)はp-OHA誘発性PPI障害を緩和させ、DSP-4(NA神経毒)は影響を及ぼさなかった。これらのことから、p-OHA誘発性PPI障害にはセロトニン神経系が強く関与し、ノルアドレナリン神経系の関与は弱いことが示唆された。