【目的】Gynura bicolor(標準和名:スイゼンジナ)はキク科ギヌラ属の多年草であり、観音莧(カンノンケン)という生薬名を有する。沖縄ではハンダマ、熊本では水前寺菜、石川では金時草と呼ばれ、多肉質の葉が食用に供される。宮城県亘理郡山元町では近年「伊達むらさき」というブランド名でGynura bicolorを生産、販売しているが、他地域と外観がやや異なり茎も食用に供すことから、成分分析を行い他地域のGynura bicolorと比較検討した。
【方法】2017年10月に収穫された山元町産と他地域のGynura bicolorの葉と茎(葉先より17cm程度)を洗浄風乾後、食品分析開発センターSUNATECへ外部委託し成分分析を実施した。
【結果】他地域産と比較し山元町産Gynura bicolorは100gあたりの水分、ナトリウム、カリウム、ビタミンK1、グルタミン酸、アスパラギン酸各含有量が多かった。また、脂肪酸総量、食物繊維量は他地域より低かった。
【考察】山元町産のGynura bicolorは他地域産と外観が異なり茎も食用に供すことから、葉と茎を同程度サンプリングした結果、山元町産のGynura bicolorの食物繊維量は低かったため、茎も食用に適することが裏付けられた。今回の成分分析結果より他地域産と山元町産のGynura bicolorでは違いが見られた。今後は遺伝子的な違いの他、栽培方法や採取タイミング、土壌調査等も検討する。
【謝辞】本研究は、東北福祉大学感性福祉研究所において、文部科学省の施設運営支援の助成を得て行われた研究プロジェクト『3.11を契機とする地域の健康福祉システムの再構築-「集中復興期間」後の展開-』の研究成果である。
小野木弘志、山口政人、曽根稔雅、只野武