【目的】国の医療費増大により薬の飲み残しなどによる残薬や医療機関内で発生する廃棄薬に関心が高まり、残薬・廃棄薬削減に対する薬剤師の取り組みは欠かせない。本研究では眼科処方箋において実施された疑義照会内容を分析し残薬・廃棄薬を減らすための要因を検討する。
【方法】宮城県内の調剤薬局において実施された眼科処方箋に対する1ヶ月間の疑義照会回数、薬学的疑義照会分類、疑義照会の内容、疑義照会後の薬の種類や増減について集計し平成27年度全国薬学疑義照会調査(以下、全国調査)と比較した。
【結果】処方内容に変更があった疑義照会は66例あり、疑義照会が生じた患者の年代は80代、70代、60代の順に多く、60-80代で疑義照会総数の8割を占めた。疑義照会が実施された薬剤はほぼ点眼薬であり、その効能・適応はドライアイ25件、緑内障11件、抗炎症9件、白内障6件の順であった。最も薬の増減が多かったのはドライアイに対する点眼薬であるが、緑内障に対する薬の増量が比較的多かった。薬学的疑義照会の分類別では日数・回数・総数に関する疑義が70%以上を占め、安全性上の疑義は15%であった。疑義照会の内容のうち残薬に伴う日数・投与総数の調節が15%であり、薬の増量に至ったきっかけは患者の希望によるものが多かった。
【考察】今回の分析結果と過去の全国調査を比較すると安全性上の疑義の数は少なく日数・回数・総数に関する疑義が多かった。疑義照会総数の8割が60-80代患者であることや眼科処方薬特有の問題点があることが予想され、診療科毎の残薬・廃棄薬削減対策を今後検討する必要がある。
佐藤慎、小野木弘志、岩崎順子、菊池恒明