Q:『伊達むらさき』(金時草/きんじそう)とは、どんな野菜? どんな料理に使われていますか?
伊達むらさき(金時草)は、キク科の多年草で、熱帯アジア原産の葉物野菜です。江戸時代の頃、日本に伝来したと言われています。葉の色が表と裏で異なり、表は緑色、裏は紫色をしているのが特徴です。葉は肉厚で、茎が柔らかく、シャキシャキした食感があり、おひたしやてんぷらにして食べます。
Q:『伊達むらさき』の研究プロジェクトを立ち上げて、それを被災地支援に役立てようということですが…どんなプロジェクト?
この研究プロジェクトは文部科学省の助成を受けて実施する、東北福祉大学の感性福祉研究所という研究所が行っている研究プロジェクトの一つです。研究プロジェクト全体では、東日本大震災後の被災地域のコミュニティや健康福祉の再生、再構築、政策や制度に関する研究も含まれるのですが、「伊達むらさき」の研究プロジェクトは、被災地域における産業の再生と活性化、を目的として立ち上げました。伊達むらさきがアントシアニンなどの抗酸化物質と呼ばれる成分が豊富であること、軽量な葉物野菜であることなどに着目し、農家の高齢化が進む被災地での栽培に適していると考え、本年度から5年計画でプロジェクトを開始いたしました。現在、伊達むらさきの成分分析などを行っておりまして、その結果をもとに伊達むらさきを使用した商品の開発に取り組みますが、このプロジェクトには東北福祉大学の学生や研究者と伊達むらさき栽培農家さんとの交流、具体的には栽培のお手伝いやレシピの共同開発といった交流や、農作業によるストレス軽減効果の検証なども含まれています。学生の若い発想や交流は農家さんを元気にしてくれると思います。
Q:もともと宮城県山元町(やまもと・ちょう)は 産地として有名だったのですか?
伊達むらさきは、山元町のNPO法人「亘理山元まちおこし振興会(千石信夫理事長)」が、震災前に特産品作りの一環で試験栽培を開始し、震災後の2013年に、町内の農家さんが復興の願いも込めて初出荷いたしました。
Q:現状の生産量は? 今後、どのくらいまで伸ばしたい?その目標をクリアするため超えるべき課題は?
現在、知名度不足や価格の低迷などで生産量が伸び悩んでおり、現在の生産農家さんは数件だけ、昨年度の出荷量は1.3トンほどです。生産量を伸ばす必要があることはあると思うのですが、生産量が増えても山元町の農家さんが幸せにならないと意味がありませんので、ご高齢になってこられた農家さんも、若い農家さんも、やりがいがあるという生産量はどのくらいか、これから検討すべきことだと思います。また、生産量を増やすには、伊達むらさきを栽培してみたいという農家さんや若い世代が、被災地域である山元町で増える必要があります。そのために、農作業の負担を軽減する、伊達むらさきの知名度を上げる、商品価値を高める、などが、東北福祉大学の我々研究者、及び学生に与えられた課題だと思います。