障害者支援施設におけるレジデンシャル・ソーシャルワークとは-その役割と機能から考える- (査読付)
社会福祉基礎構造改革以降、「施設」から「在宅」へと施策が進み、生活型福祉施設の位置づけは「生活の場」から「通過施設」の位置づけに変化してきている。その中にあって、障害支援施設の果たすべき役割や機能は重要なものとなる。取り分け、「地域移行支援」は大きな課題となっており、既存の支援を展開するだけではなく施設におけるソーシャルワーク体制の構築が求められる。本研究は、障害者支援施設におけるレジデンシャル・ソーシャルワークの役割と機能を整理し、その必要性を明らかにすることを目的とした。障害者支援施設は、地域移行支援が求められる一方で、依然として多くの利用者が入所している。このような状況下で、利用者の意思決定を尊重し、自立した生活を支援するレジデンシャル・ソーシャルワークの必要性は高まると考える。それを明らかにするため、先行研究のレビュー、関連法規の分析、および関連文献の調査を行い、レジデンシャル・ソーシャルワークの役割、機能を整理した。その結果、障害者支援施設におけるレジデンシャル・ソーシャルワークは、当事者主体の原則の下に意思決定支援を踏まえた個別支援計画の作成、地域移行支援など、多岐にわたる支援を行うことが求められており、人材育成や体制整備等、組織内のアドミニストレーションの強化を図ることで、より効果的な支援が実現できると考えられる。
感性福祉年報第26号