近年、先進諸国をはじめ日本においても社会的孤独・孤立についての問題は深刻となっている。そのような中で、2011年の東日本大震災で、津波や地震の影響で故郷を去らざるを得ず、災害公営住宅への転居を余儀なくされた住民の社会的孤独・孤立について問題となってきた。本研究は、これまで発表された論文を通し、東日本大震災後の災害公営住宅で暮らす住民の社会的孤立に焦点を当て、その背景や課題、これまでの支援の効果について明らかにすることを目的とした。その内容を整理・分析することで、今後の効果的な支援について考察した。対象論文は海外論文が11件、国内論文が15件であった。海外論文では縦断的研究が多く、社会的孤立との関連を調査する研究が多かった。それにより、社会的孤立と機能障害発症リスクとの関連や社会的孤立と抑うつとの関連があることが明らかとなっていた。国内論文では、住民を対象としたものでは、個別性のある支援がなされていたが、共通して早期の社会的孤独・孤立へのアセスメントの必要性や継続した支援の重要性が報告されていた。日本は災害大国であり、東日本大震災後の社会的孤独・孤立について、現状や課題、支援の効果などの知見を整理することで、今後の起きうる災害後の社会的孤独・孤立への予防や継続的な支援の在り方などに活用できると考えられる。